オムロン新検査装置「VT-Sシリーズ」のご紹介
(2014/11/19)
今年度オムロンより「新検査シリーズ」として発売された検査装置の御紹介と、この新しい検査装置の特徴や必要性について、SMT技術の動向や国内外の実装現場の状況などを交えながら説明したいと思います。
【1】市場動向
近年、SMT技術を核とした電子機器のモノづくりは、大きく3つの形態に分かれています。
(1)スマートフォン、タブレット、ウエアラブル機器に代表される「デジタル機器系」
(2)自動車の電子制御系、いわゆる「車載機器系」
(3)通信機、携帯基地局、セキュリティ関連などの「産業機器系」
(1)の主戦場は中国一極から、タイ/ベトナムを中心とする東南アジア圏に低コストと安定労働力を求めシフトしており、この流れはしばらく続くものと思います。
グローバル視点では、アップル/サムスンの2トップとこれを脅かす台湾/中国ローカル系企業が低価格を武器にパイを奪い合う形になっており、日本国内において我々に身近なスマートフォンでも中国メーカー製が散見される様になりました。
日系企業はこれらに「部品事業」として参入し、モジュール発信子や液晶バックライト等の部品でモバイル機器系モノづくりに入り込む形が多くみられますが、セットメーカーの高い品質要求レベルを満足するのに苦慮されているようです。
(2)については、近年のハイブリッド車に代表される燃費競争や環境性能/安全性向上を主目的に、電子デバイスを数多く搭載する傾向になり、高級車では車両1台に30個以上の制御ユニットを搭載することも珍しくありません。また最近では日本工場/海外工場で同時立ち上げが必然になっており、日本国内で品質を作りこんでから海外工場へ展開、という従来手法が取れず、生産技術系エンジニアの御苦労がうかがえます。
日本の完成車体メーカーでも海外サプライヤから部品を調達する事例が増えている中、逆に日本の部品サプライヤは海外車体メーカーとの取引事例を増加させており、いわゆる「系列」が崩れグローバル競争へと発展しています。
当然品質は重要ですが、品質要件も完成車体メーカーや地域毎の特色があり、最適品質/最適コストを満たすモノづくりは困難を極めつつあります。
(3)については、日本国内では安定していた産業機器系に関しても最近は競合の参入、コスト性や柔軟な生産/納期対応が求められておりその市場様相は変化しつつあります。
いずれの業態においても「品質」「コスト」「納期」においては、一層厳しい対応を迫られていると思われます。
【2】オムロン新検査シリーズのコンセプト
【1】でご紹介した市場動向から、下記3点を主要コンセプトに致しました。
(1)品質コスト最小化
課 題 | 対 応 |
検査プログラム作成短縮 | ・自動化技術を採用し短時間で作成可能。 |
検査タクトの更なる向上 | ・従来比約1.5~2倍の検査スループット実現。 |
インライン運用 | ・設計段階よりインラインを意識した仕様。 |
高性能検査 | ・従来のカラーハイライトに加え3Dモワレ照明採用。 ・2つの方式のハイブリッドで検査性能向上。 ・過剰判定は従来比1/5~1/10。 |
(2)グローバル品質管理
課 題 | 対 応 |
品質見える化、良品モノづくり | ・印刷/実装/リフロー検査の状況を3点画像で工程間照合し、要因を素早く解析します。 |
(3)国際基準に準拠したモノづくり(モノづくり付加価値向上)
課 題 | 対 応 |
検査装置独自の品質基準 | ・IPC-D610を意識した検査基準設定。担当者は閾値を設定するだけ。 |
次回より、詳細な内容をご紹介させていただきます。