電子部品の熱特性と半田付けのコツ(2)

(2012/8/23)


1.良い半田付けの判断基準

それでは実際に半田付けの出来栄え評価として、どう判断されるのだろうか。

写真1 コンデンサ不濡れ 写真2 トランジスタ不濡れ

写真1、2で紹介されるようなチップコンデンサ、トランジスタの不濡れ(未接続)について説明する。

不濡れとは部品電極(またはランド)と半田が馴染んでおらず多くの製品においてもこのような不具合例は起こりうる内容で、生産ライン通過時に電気的には一度良品とされても経時で通電すると未接続になる不具合である。このような不具合は欠品、ブリッジなどと違い電気的検査では見つけ難く、出荷後の振動、衝撃や時間の経過などにより導通不良となるケースが多くみられる。
このような不具合を防ぐために適正な半田付け技術を身につけたり、半田付けの外観検査を行い時限式不良の工場流出を防がなければなりません。

我々ユーザーは購入した製品が初期不具合として電源が入らなかったり、他の不具合を経験したことは無かっただろうか。チップの半田量、リード部品のリードの先端部にどれ位半田が乗れば良品となるのだろうか。

次に半田の仕上がり外観で判断する方法を示す。

良い状態 θ<90° あまり良くない状態 θ=90° 悪い状態 θ>90°

上図は半田の濡れ角によって半田付け状態を判断する方法である。濡れ角が小さいほど半田付けが良好であることを示し仕上がり状態の目安に成る。
半田量を判断する際によく言われる表現としては、チップ部品ではフィレットが富士山の裾野のように広がってること、リード部品の場合はリードの線筋が確認できることなどと言われてます。

半田付けを外観上判断する際に注目する事としては

  1. 半田が良く流れ長く裾を引いている状態・・・・濡れ
  2. 光沢と艶があって滑らかである状態・・・・化合物、拡散
  3. 半田の肉厚が薄く線筋が想像できる状態・・・・量
  4. 半田接合箇所に半田の割れ、ピンホールが無い状態・・・・外観異常

以上の4項目がとても重要になります。

 

2.チップ部品の半田付け手順

現在の製造工程において一つ一つのチップ部品を半田付け、という事はほとんどありませんが実装不具合により部品間違い、部品破損などの不良があった場合は、半田ごてを使って修理交換作業をしなければなりません。
CRチップ部品の交換作業をする場合は取り外す部品の電極を1本のこてで交互に温めてから外す方法と、2本のこてを同時にチップ電極に当て取り外す方法があります。

 【NG部品の取り外し】

2本のこてを使って同時に両方の半田を溶かし、チップ部品をランドから離します。この時、ランドに少し増し半田する事によりチップ部品が取れ易くなります。

 【古い半田の除去】

ランドに付いた残り半田を網線を使って除去します。
除去した後の基板に付いたフラックス汚れを基板用のクリーナーなどで洗浄します。

 【予備半田付け】

片方のランドに予備半田をします。

 【仮半田付け】

予備半田にこてを当て半田を溶かす。
溶けた半田にピンセットでつまんだチップを、横から滑らせるようにスライドさせ位置決めをしてこてを放す。
この時ピンセットで挟んだチップは保持した状態で、半田が十分固まった事を確認してからピンセットを離す。

チップのズレや浮きが無いか目視確認します。

 【本半田付け】

半田付けし易いように基板を180度回転させて、もう一方の電極を本半田付けします。

仮半田付けの方にもこてを当てて少量の半田を供給しフィレット形状を整えます。

最後にツノや浮き、ズレなどを確認し終了とします。

注意するポイントとして、こて先がチップ電極に長時間当たると電極が破損するので、出来るだけランドを温めて半田が溶融したらチップ電極へこて先を持って行くようにして下さい。


修理時の基板の取り扱いについては右写真のような基板パレット(基板ホルダー)にセットして作業します。
裏面部品に負荷を与えず、基板の水平を維持し安定した状態で作業することが出来ます。

片方の電極の半田付けが終わったらパレットを180度回転させ、反対側の半田付けを行います。そうする事により基板や部品に直接触れる事無く作業できます。

 

半田付け作業で重要なのは半田の溶け始め状態とチップ電極やランド、半田を加えた時など温度が微妙に変化する事を頭に入れて作業を進める事です。必要以上に熱を加えるとチップ電極の破損やランドパターンの焼損剝離を起こしたりします。

手半田付けで重要な三つの温度管理は

  1. 熱源となるこて先の温度・・・・対象物(部品、ランド)の大きさとこての設定(こて先形状、サイズ、容量)
  2. 接合体を適温に加熱するための温度・・・・母材にこて先を当てる時間
  3. 半田を与える時の温度・・・・半田の組成を知ること

以上、三つの温度管理をしっかりと把握して作業する必要があります。

特にこて先の温度管理は重要です。例えば、製造現場のみならず個人が所有する半田ごてにも温度調整機能があるかと思いますが、それぞれのケースに合わせて温度設定しても、水分を含んだスポンジを使ってこて先掃除をすると瞬間的に100℃前後も温度降下をすることがあります。温度が低いまま半田付けを行ってもランド(電極)加熱が不十分になり、半田が馴染まずに写真1.2のような不濡れ不良が発生します。
(弊社ではこて先の温度変化を最小限に抑えてクリーニングできる「こて先ビジン」を取り扱っております。)

 

それでは、こて先の温度に注意しながら基本手順に従って手半田付けを行いましょう。

  1. 準備する・・・・材料や道具など半田付け出来る状態に準備します
  2. こて先を当てる・・・・ランドと電極を温めます
  3. 半田を供給する・・・・糸半田をこて先に近づけ半田を溶かします
  4. 半田を離す・・・・接合に充分な半田量が供給されたら糸半田をこて先から離します
  5. こて先を離す・・・・最後にこて先を離します

以上の半田付け五工程をよく理解し基本通りに作業を進めます。それにあわせて半田付けする部品の耐熱性や適切な半田量、また半田ごてなどの道具の選定などの知識を身に付けることが不可欠となります。

 

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